敷引き有効の最高裁判決
敷引き有効の最高裁判決
朝日新聞 記事より
賃貸住宅の敷金(保証金)を返す際、修繕費として一定額を差し引くと定めた契約条項(敷引=しきびき=特約)は消費者契約法に反するか――。
この点をめぐって家主と借り手が争っていた訴訟で、最高裁第一小法廷(金築誠志裁判長)は24日、「不当に高額でなければ特約は有効」とする判決を言い渡した。
敷引特約は関西を中心とした商慣習。「消費者の利益を不当に害する契約は無効」と定める消費者契約法が2001年に施行された後、地高裁段階では特約を無効とする借り手側勝訴の判断が相次いでいた。
今回の判決は、特約そのものは無効ではないと認めた最高裁の初判断で、同種訴訟に影響を与えそうだ。
争われたのは、06年8月~08年4月に京都市内のマンションの一室を借りた男性が、敷金40万円のうち特約で差し引かれた21万円の返還を家主に求めた裁判。家賃は月9万6千円だった。
第一小法廷は、通常の使用による修繕費まで借り手に負担させる敷引特約について、「消費者の義務を重くするものだが、修繕の必要性や金額をめぐるトラブルを防ぐ意味で不合理とは言えず、借り手の利益を一方的に害するものではない」と指摘し、一般的な有効性を認めた。
ただし、借り手側は修繕費に詳しくないことや家主側と交渉力に差があることを考慮し、「通常の修繕費、家賃額、礼金の有無などに照らして、差し引く額が高すぎる場合は無効になる」と述べ、額によっては違法となる余地は残した。
今回の事例については、差し引く額が賃借期間に応じて18万~34万円で家賃の2倍弱から3.5倍強にあたり、礼金の支払いもなかったとして「高すぎるとは言えない」と判断した。家賃の何倍なら不当に高額になるかという基準は示さなかった。
契約で敷引き条項を明示していることから「消費者を不当に害する」とは言えないとは常々思ってきましたが、最高裁でようやく認められたようです。
消費者保護は大切なことですが、現代はネット社会で、こと賃貸住居に関しては消費者の方が情報を多く所持しているケースも多いのです。
また供給も過剰気味で、市場はまさに「借り手市場」なのです。そんな中でのこの判決は大変歓迎したいと思います。